入居テナント紹介 ［1-A］
The Hidden Japan
山科沙織さん、山下デレックさん
Q：The Hidden Japanとはなにか、教えてください。
私たちは主に欧米豪をターゲットとする旅行会社、プロモーション会社です。欧米豪の方々からは東京、大阪、京都、広島、北海道以外の日本というのはまだまだ知られていません。なかでもとくに東北地方は、来日するインバウンド旅行者全体のうち訪れるのはわずか1％ほどしかいないというデータもあったくらい、知られていない場所です。
そんななか、「庄内や山形をはじめとする隠れた日本のさまざまな魅力をもっと外に向けて発信したい」という想いからはじまった観光メディア、それが The Hidden Japanです。このWebサイトでは、鳥海山や羽黒山や庄内浜をはじめとするわたしたちのこの地域にあるさまざまな観光資源を、写真や映像そして英語のテキストによってコンテンツ化し、海外の人たちに向けて紹介してきました（The Hidden Japan ウェブサイト）。スタートしたのはいまから5年ほど前のことですが、そのころにはまだ山形について英語できちんと紹介された情報はほとんどなく、わずかにあったとしてもその多くは日本人の英語によって書かれたものだったり、自動翻訳されたものだったりと、ネイティブの人から見ると有用な情報になっていないという印象でした。
実際、山形や庄内の魅力をしっかりと英語で伝えていくというこの観光メディアをはじめてみると、海外からの旅行者たちや旅行会社からの問い合わせを数多くいただくようになりました。そこでこんどは、The Hidden Japanを法人化し、わたしたち自身が旅行業者となって、オリジナルのツアーを企画し、募集をかけ、旅行者を受け入れるといった観光事業を手掛けるようになり、これまで多くの旅行者をガイドしてきました。
わたしたちが企画するツアーのなかでとくに海外の人たちから人気なのは、羽黒山を登るツアーであるとか庄内浜でのフィッシング体験であるとかいったような体験型のコンテンツです。さらにそのなかでも、たとえば寿司の握りのワークショップのような食を体験する企画は、とくに高い人気を誇ります。こうした食体験ツアーはこれからますます充実させていきたいですし、また、庄内や山形に限らず日本各地へ、さまざまな事業者と連携しながらツアー企画を展開していきたいと考えています。
Q：新しい拠点をこの Q1に置くねらいを教えてください。
ひとつはQ1の場所です。わたしたちはもともと庄内を拠点として活動してきましたが、旅行者の移動のしやすさという面から見ると、山寺や蔵王、仙台などどこに行くにせよ、山形駅というのがアクセスのポイントになる場合が多くあります。山形市の中心街にあるこのQ1に拠点をつくることによって、旅行者にとってアクセスが良くなり、利便性が高まることになると考えています。
もうひとつは、Q1にはイベントスペースやキッチンスペースがあるなど施設的に充実しているため、ツアーを組むのに非常に都合がいいということが挙げられます。先ほど述べましたように、わたしたちが提供するツアーのなかでもとくに人気なのが、食の体験ツアーやワークショップです。Q1であれば、山形のレストランや小料理店の料理人の方に講師になっていただくようなワークショップを、そのキッチンスペースを活用して行うことができます。あるいはまた、旅行者の方たちが最上や置賜や庄内といった地域まで移動するのが難しいような場合であっても、そうした地域の料理人の方がたにQ1までおいでいただいて、地域のことをご紹介いただきながらワークショップしてもらう、などということもできるでしょう。海外からの旅行者の方たちと山形の料理人とがこのQ1という場所で交流しながらより良い食の体験ができるなど、より充実したイベントができると考えました。
さらに言えば、観光旅行者だけでなく、さまざまなコミュニティをつなげていきたい、という想いもあります。この数年のコロナ禍の状況のなかでは、山形に暮らす外国人たちもとても苦しい想いをしていました。せっかく山形に来たのに人と会う機会がなく、交流もできませんでした。ですからこれからは、山形に暮らしている外国人同士が出会ったり、共に学んだりできるような国際コミュニティづくりであるとか、そこに地域の人たちとの交流もつなげていくようなことをやっていけたら、と考えています。わたしたちがハブとしての役割を担い、観光をつなげることで、山形を訪れた海外の旅行者の方たち、この地域に暮らす外国人の方たち、そしてここに暮らす地元の人たちみんなが触れ合い、交流するようなコミュニティができていく…、そんなことに貢献していけたら、と思っています。