【音楽イベント】バイオリニスト・山本啓ソロライブを振り返る
- レポート
去る2023年11月23日に、やまがたクリエイティブシティセンターQ1を会場に開催された、バイオリニスト・山本啓(やまもと・ひらく)さんのソロライブの様子を振り返ります。
山本啓さんは、楽器を背負いながら様々な地で演奏会を開催する、いわば「旅するバイオリニスト」です。縁あって、山形での演奏会場を探していた山本さんと出会い、この度のライブが実現しました。
山本さんの演奏の特徴は、「ループ」や「エフェクト」という技術を駆使しながら生演奏をその場で録音・加工し演奏するスタイルにあります。今回のライブでは、バイオリンやギターに加え、創造都市やまがたのシンボルである、ベヒシュタインピアノも使ってのライブとなりました。
みなさんは、山本さんのようなスタイルの演奏をお聴きになったことはありますでしょうか?
ベースとなるフレーズがバイオリンで演奏・録音され、その音がループして会場に鳴り響き、そこにギター・ピアノの音が次々と重ねられます。そして最後に、バイオリンによる主旋律が重ねられひとつの音楽になるという感じです。音の重なりによって、どんどんと音量が大きくなっていくと思われるかもしれませんが、音のレイヤーが増えていくのです。様々な音が重ねられることで曲の盛り上がりがつくられ、それがピークに達したかと思うと、一音ずつ音が引き算され、曲が終わりを迎えます。
音が重ねられている時も、引かれていく時も、山本さんが奏でる全ての音が音楽でした。ほんの数秒前の自分が奏でた音に、今の自分の音を重ねているという現実を、山本さんはどのように感じているのでしょうか。二人、三人と増えていく山本さんの演奏を聴いているような感覚が残るライブでした。
この山形第一小学校旧校舎には、山形の記憶や物語、市民の愛着が鳴り響いています。やまがたクリエイティブシティセンターQ1は、今後ここにどんな音を重ねていくのでしょうか。
ご来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました。そして山本啓さん、この度はQ1を会場に演奏いただきありがとうございました。また楽器を背負って山形にいらしてください!
(文責:Q1スタッフ 小野寺雄太郎)