株式会社黒澤設備デザイン研究所
常務取締役 阿部哲哉さん
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Q:KUROSAWA DESIGN LAB.について教えてください。
KUROSAWA DESIGN LAB.は、株式会社黒澤設備デザイン研究所と、その親会社である黒澤建設工業株式会社の広報チームとから成るものです。黒澤建設工業というのは山形市に拠点を置く会社で、主として空調や給排水といった機械設備の施工などを行なっています。それに対して、子会社であるわたしたち黒澤設備デザイン研究所のほうは、そうした建築機械設備という領域に特化した建築設計事務所、という位置付けとなっています。
昨今、住宅はZEH(net Zero Energy House)、それ以外の建物もZEB(net Zero Energy Building)をめざす動きになっている、ということはみなさんご存知かと思います。建築物や設備の省エネ性能の向上や、発電設備といったエネルギーを生み出す仕組みの導入などによって、建築物におけるエネルギー消費量がおおよそゼロとなることをめざす、という方向です。
法律が定められたこともあり、新築の建築物はこれからいやがおうでもそのようなものになっていくわけですが、しかしながら、これからつくられていく新築の数というのは、全体として見ればそれほど多くはありません。むしろすでにある既存の建築物の方が多く、また使用するエネルギー量もずっと大きいわけですから、環境問題を考える上では既存にあるそれらをどうするか、ということのほうが重要でしょう。
そうした既存の古い建物をZEB化していくために注目されるのが、わたしたちが仕事としている建築設備の分野です。これをうまく考えることによって省エネルギーを可能にしたり、CO2削減ができたりする可能性は十分にあります。世の中的にはまだまだ手探りなところではありますが、だからこそ、これからますますわたしたちの仕事が大きな重要性を帯びてくるのではないか、と考えています。
Q:Q1に入居した狙いはなんでしょうか。
かつては「3K」などとも言われることがあった建設業界ですが、近年はさまざまな企業がCMを流したりするなど積極的なプロモーションを展開していますし、従来までのキツイ業界というイメージをなんとか払拭しようとしたり、職場環境を改善したりということによって、若い人材を集めようとしています。わたしたちがこのQ1という建物に入居したのも、そうした流れの一環、と言えるかもしれません。
というのも、建築領域のなかでも特にわたしたちの「建築機械設備」という分野は、なかなか目立ちにくい地味な分野でもあるので、もっと多くの若い方たちに「こういう仕事があるよ」ということを知ってもらったり、興味を持ってもらったりしたいという思いがあります。
Q1に入居したのは、そのようなきっかけを創出するためです。大学生などの若い方たちもたくさんやってくるQ1にオフィスを構えることで、「こういう会社もあるのか」ということをまずは知ってもらいたい。そして、そうした小さなきっかけからでも、リクルートの入口になれば、と思っています。
Q:これからのQ1での展望などはありますか。
このQ1という建物は、100年前に建てられたという大変に古いもの。にもかかわらず、このように魅力的なものとして今に蘇って多くの人を集めているというのは、大変に刺激になることです。まさにわたしたちが得意とする空調・給排水設備のリファインによって、こうした古い建物を、より省エネルギーで、なおかつ快適な空間として再生することができる、ということの証明でもあると思っています。
まずは、Q1においでになる方たちに、わたしたちの存在に気づいてもらうこと、知ってもらうこと、それがスタートラインだと思っています。その上で、ゆくゆくは建築や設備に関わるイベントをこのQ1でやってみる……なんていうこともやれたらいいでしょうね。